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豊里ガーデン(宮城県登米市 花屋)ブログ

遺体。

2012年02月15日 12:20 AM

 

一冊の本との出会いがありました。

 

『遺体~震災、津波の果てに』 ↓

 

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この本の存在を知った時、私はどうしても手に取って読みたいと思った。

読むのは『今』ではないかと思ったんだ。

 

そして、私が入院が決まったその日に合わせて、この本を取り寄せました。

 

この本は、岩手県釜石市での遺体安置所で遺体安置所で関わった

自衛隊、警察官、消防団、民生委員、医者、歯科医、葬儀社、僧侶の方々のドキュメント。

 

死体と向き合ったときの、言葉では容易に表現できないような恐怖、悲哀、狂気、嫌悪、思考停止…は、

人間の多くが「死」という現実から目を背けて生きていることの証し。

 

実際、私自身も一番目を背を向けて来た事かもしれません。

 

もうすぐ、あの震災から1年が経とうとしている。

その前に、この本の事をブログで書こうと思った。

 

 

テレビで報道された瓦礫の山は、ある程度整備された後で、

実際に私達被災地の人間が目にしたのは、道のない地獄の世界そのものでした。

あちこちに遺体が散乱し、手を合わせ、涙を流しながらその場を立ち去る事しか出来なかった。

 

満足に人が入ってこられない土地で、遺体と向き合うのは地元の人たちしかいない。

人々は自らの手で遺体を見つけ、保管し、供養した。

友人が、家族が、患者が、遺体となって運ばれてくる様子に多くの人たちが必死で向き会い続ける。

その中でも、民生委員の元葬儀社の方が、凍えるほど寒い安置所にずっと通い続け、

声なき遺体に根気よく話し掛けたという。

 

 

本の中の一文で

『蛆に食い荒らされた孤独な老人をせめて人間らしく扱いたいと思い、

遺族が来るまで変わりに自分が遺体に言葉をかけることにした。

手が空く度に、町の近状やその日の出来事を語って聞かせる。

そうしていると穴だらけの変色した遺体が生前のように喜んだり、

悲しんだりするように見えたのだ。』

 

自分の身内を捜しに来た時、遺体を前に取り乱す人を慰め続ける。

 

その他にも、遺体の身元がわからないと、電気もない凍える寒さの中、

硬直した遺体に向き合い、懐中電灯一つで歯科検視した歯科医。

全ての遺体は、口の中にびっしりとヘドロが詰まっていたと言う。

それだけ大量の水を飲み、みんなもがき苦しんだ表情で亡くなって行った。

穏やかな顔をして亡くなった人は誰一人としていない。。。

 

そして、遺体安置所に足を運び、

僧侶が声を詰まらせ、涙を流しながら読経したと言う文面に涙が止まらなかった。

 

遺体』は、何十年も続いていくであろう傷と向き合うために、

どう生きていけばいいのかを想像させてくれる本だと思った。

答えのない諸々の出来事を、忘れずに生きていくために、

この本をずっと手元に置いておきたいと私は思いました。

 

でもね、それ以上に、この本を一人でも多くの人に読んで頂きたいと思ったのです。

入院中にこの本の話を沢山の人に話しました。

そして、次に読んで頂ける方の所へこの本を渡しました。

決して、悲劇と苦しみ、絶望・・・

それだけではないと言う事を、私達に感じさせてくれる一冊でした。

 

 

(店員ブルー☆マッキー)

“遺体。”には10 個のコメントがあります。

  1. つたや✿ より:

    おはようございます マッキーさん。。
    無念な気持ちで 亡くなられた方々に対して 心を込めて対応された 関係者の方々・・・
    ご遺族の方も 気持ちが救われた事だと 思いマス。。
    私も 是非この本を 読んでみようと 思います。。

  2. 島根・K より:

    マッキーさん
    ちょっと前に、その日津波に遭った消防団の方のドキュメントをテレビで見ました。
    テレビではありますが、それだけでも、いろんなことを思いました。
    ただ、怖いとか苦しいとか・・・・だけじゃない、もしかしたら・・・力強い希望とか・・・
    混沌とした大きなものが、思いが、胸にこみ上げながら見ていました・・・
    多分・・・・それは・・・マッキーさんが実際に体験しそこで生活をし、その本を読んで
    感じたことの疑似体験(?)・・・・かもしれない・・・・と思います・・・
    そして、自分は震災に遭っていないけれど、それを通して人間の根本のところでの
    “どう生きて、どう死ぬか” “自分ならどうする”
    を目の前に突きつけられて、向き合っていかなければならないことの胸苦しさでも
    あったのかな・・・・・・・とも思います・・・
    こうやって、言葉にしてしまうと、なんだか薄っぺらいけど・・・・・
    その本、ぜひ手にとってみたいと思います。
    変な表現かもしれませんが、私のこれからの人生の喜びも苦しみも、すべてが
    大きな意味での“感動”だと捉える心を持って前に進むための1冊になるんじゃないか・・
    という気がします・・・・・

  3. 55-048寺尾 より:

    マッキーさん、こんにちは。

    今年は特に雪の多い冬になりましたね。気温も低いです。
    術後の、傷パックリからその後いかがでしょうか?無理しないでね。

    今回のブログは、題名からして読むのを躊躇しましたが、思い切ってクリック!
    想像以上の内容、本の中はもっと悲惨で凄惨な、
    生々しいことが書いてあるんでしょうか・・・・。
    それでも『遺体に語りかける・・・』のくだりには、思わず絶句、視界がウルウルして
    人の死、しかも自分自身の身近な人の死だったらどうしよう・・って、考えました。
    人の死、現実は不衛生で、日々変わっていく容姿、変っていくから別れの決心が
    つくのだと、知人から聞いたことがあります。
    大川小学校の先生や生徒さんたちの、遺体捜索を川の水をせき止めて行うのを
    先日知りました。震災から11カ月も経って、一体どんなご遺体と対面するのかと
    空恐ろしくなりました。それでも、寒くて冷たくて暗い水底から、早く引き上げて
    誰なのかを知り、供養してあげるのも、復興への道筋ですよね。

    興味深い本を紹介してくださって、勇気あるマッキーさん、本当にありがとう。
    もうすぐ、もう、あの震災から1年になるんだね。すべてのご遺体に合掌します。

  4. 店員ブルー☆マッキー より:

    → つたや✿ さん

    こんばんは~♪ コメントありがとうございます。
    本当にこの本を読んで、被災地に居ながら知らなかった世界が見えた感じがしました。。。
    震災から~秋の彼岸まで、そして今も震災で亡くなった方の葬儀が行われています。
    毎日の様に葬儀会場へ出向き、花運ぶ仕事をしながら、
    最後の見送りの日にですら、私は目を逸らし背を向けていたと思います。。。
    遺体を見つけて、抱きかかえてダンプに積んで安置所まで運ぶ人、
    泥まみれになった遺体を洗う人、一人一人の顔を確かめて、遺体の特徴をメモして貼る人、
    身元が分からなく、歯型を取り検視を行う歯科医、死亡を確認し死亡診断書を書く医者、
    遺体を身内が来た時に案内して慰める葬儀社や民生委員。。。。
    火葬をする為に、遺体をトラックで運ぶ人・・・・
    沢山の人があり得ない数の遺体と向き合った。。。そんなお話でした。
    正直、この本を読んだ感想をうまく表現できずにいます・・・
    なんて言ったら良いのか、本当はわからないのです・・・
    でも、亡くなった方に背を向けて、復興だ~なんて語れないんですよね・・・・。
    町は少しづつ光を取り戻しているけど、でも、亡くなった人の分まで、
    生き残った我々が頑張らないといけない。。。だから精一杯やっていきたいです。
    本当に機会がありましたら・・・つたや✿ さん・・・この本を読んでみてください。

  5. 店員ブルー☆マッキー より:

    → 島根・Kさん

    こんばんは♪ コメントありがとうございます。
    本当に私の知らない所で、数々の物語があったり、生と死がそこにあったり。。。
    本当に言葉にならない思いで一杯です。
    誰かを助けるために、自分の命を失った人が沢山いる。
    看護師が、患者さんを助けるために、もしかしたら自分が今死ぬかも知れないと、
    とっさに自分の腕にマジックで自分の名前を書いたり、医者が仕事中は着けていない結婚指輪をはめたりと、
    自分が死んでしまった時の為に、身元がわかる様にとした行動が。。。
    『今から自分が死ぬかもしれない』と言う時に出来る事なのか・・・と思いました。。。
    私だったら出来ない・・・・絶対に・・・
    誰かを助ける余裕なんてないかも知れない。
    死体を見るだけで、怖くなってしまう私なのに、この本の中では、どんな状態の遺体であっても、
    手に触れて、綺麗にしてあげて、身内に返してあげて・・・
    そう言った方達の気持ちが。。。。本当に胸が熱くなる思いでした。
    私は、この被災地に居て、何を見て来たのだろうと・・・。
    未だに前を見る事が出来ない人たちも沢山いる。
    私はこの本を読むのは早過ぎたかも知れないと、ページをめくる手が何度も止まりました。
    涙が止まらなくて。。。辛過ぎて。。。言葉に出来ない思いでした。
    でも、この本の事を、ここのブログで書きたくて書きたくて、
    そして一人でも多くの人がこの本を読んでくれたら。。。って思いました。
    この本の事をブログに書くにあたり、言葉が見つからず。。。何度も手を止めて、
    言葉を探しながら、私のへたくそな文章で精一杯の気持ちを伝えさせて頂きました。

  6. 店員ブルー☆マッキー より:

    → 55-048寺尾さん

    こんばんは♪ コメントありがとうございます。
    本当に今回のブログの題名をどのように書いたら良いか悩みました。
    でも、この本があるがままの出来事を書いてあるのだから、
    私もあるがままの題名をつけました。
    この本の内容は、本当に想像以上の物でした。
    私達の知らない世界がそこにあり、でも知らなくてはいけない事だと思い。。。。
    これだけの恐怖に目を逸らしてはいけないんだと。。。現実を受け止める為に。
    死後直後の遺体は、かろうじて人として見れる状態だと書いてありました。
    でも、1週間以上経った遺体は、『人間』としては見る事が出来なかったそうです。
    家族にも見せられない、家族が見たとしても自分の身内ではないと判断してしまうそうです。
    朝出掛けたまま帰らぬ人となった家族が・・・一人だけ生き延びた人が、
    どんな思いで今を過ごしているのだろうと、思うと涙が出て来ます。
    自分が笑っていてはいけない様なそんな気持ちにさえなってしまう事もあるのです・・・
    大川小学校の生徒さんや先生の遺体捜索を?
    そうなんですか・・・・。。。。でも、どんな形であろうと、家族の元に早く返してあげたい・・・
    それが今出来る精一杯の願いです。
    身元不明の遺体も、まだ行方不明の遺体も、次々とDNA鑑定で家族の元に帰れているのです。。。
    見つかって良かった。。。は不謹慎な言葉かも知れませんが、でも・・・それが一番なのです。
    今回この本の事をブログに書きたくて書きたくて・・・本当は手術の傷跡なんて書いている場合ではなかったのですが、
    頭が悪い私は、どうしてもどうしても言葉が見つからなかったのです。。。
    でも、遺体に携わった方達の沢山の努力とか想いとか。。。。亡くなった方も感謝していると思います。。。
    本の内容はとても切なく言葉になりませんが。。。でもぜひとも読んで頂きたい・・・そんな一冊でした。

  7. 大津生花店 より:

    こんばんは☆
    このブログを読んですぐ注文してきました
    読みたい・・・でも最後まで読める心の強さが私にあるか?
    だけどやっぱり今を生きているのだから読まなくちゃいけない!
    知らなくちゃいけないと思いました
    もうすぐ1年ですね・・・いまだに数千人ものかたが行方不明だと聞きます
    本で紹介されている方々には本当に頭がさがります
    だけど!
    マッキーさんも最後の旅立ちのお花を飾ってあげている!
    他の誰にも出来ない・・・花屋さんのマッキーさんにしか出来ない仕事です 
    やはりお花は手向けてあげたい・・・そんな沢山の人のお役に立ってます
    そして残された方々の癒しになっていると思います
    全ての方に穏やかな時間が訪れますように・・・

  8. 店員ブルー☆マッキー より:

    → 大津生花店さん

    こんばんは♪ こめんとありがとうございます。
    そして・・・・私の言葉足らずなブログを読んで、本を注文してくれてありがとう。。。
    私は今回のブログの題名を『遺体』にしました。
    本当はこの本の事を沢山の人に伝えたい・・・伝えたいし読んでもらいたい。
    けどね、やっぱり見たくない人だっている。
    でも、ありのままの事を知ってもらいたいから、私は題名を変えずにそのまま載せました。
    何度も読む手が止まって、涙が止まらなくなったし、
    色んな事を思い出して辛くなって切なくなって、
    もっともっと辛い思いしている人が沢山いるんだって。。。。
    でも、現実を見なくちゃ前に進めないのですよね?
    何度行っても葬儀会場には慣れないし、葬儀会場に行くと、
    変にどぎまぎして失敗ばかりしてしまう。
    でも、ありがとうございます・・・
    本当にそう言って頂けると・・・自分がしている事は無駄ではないのかなと
    思えます。。。。。
    震災当初は、飾ってあげるお花すらなくて・・・・。

    あれから早いものでもうすぐ1年。。。
    いや。。。長かったなぁ・・・・そう思います。
    この本を読むのは結構時間がかかりますが(単に私が普段本を読まないからなのかも知れませんが。。。)
    時間がある時、ぜひ読んでみてください。
    なんてコメントしたら良いかわからないけど。。。
    色々考えさせられる本だと思います。

  9. まおちゃん より:

    こんにちは。ご無沙汰してしまいました。
    その後の経過、順調であることを祈っています。
    このブログを拝見して、本を買いました。
    勇気をもって本を開きましたが、辛くて一気には読めず、先日、やっと読み終えました。

    あれだけの大津波が町を呑み込み去って行った。。。
    当然といえば当然の結果が待ち受けていて。。。
    しかし、その現実に直面して初めて、津波以上の大きな何かが、人生を、全てを奪って行ってしまった事を知る。。。
    その猛威を目の当たりにした方も、しなかった方も、失われたものは計り知れず、大きな穴を、心に抱えてしまう。
    心の穴を埋めるすべはなく、闇に置き去りにされながら、時の流れだけが人々の足元をすり抜けている。

    この本を読んで、そんな印象を受けました。
    心の穴に痛みを感じもがく人、その穴が大きすぎて痛みを感じる事すらできなくなってる人、
    それぞれに、皆さんが闘っているんだと。

    本当に、本当に想像をはるかに超えていて、かける言葉が浮かびません。
    改めて、マッキーさん、自分に何ができるのでしょう?
    情けない限りです。

    亡くなった方々、今日も闘っている皆さんに敬意を表します。
    心より祈りを捧げます。

  10. 店員ブルー☆マッキー より:

    → まおちゃんさん

    まおちゃんさん、コメントありがとうございます。
    こちらこそ、お返事が遅くなりました。。。

    そして、私のブログを見てこの本を買って頂き本当にありがとうございます・・・
    この本の事をブログに書きたくて、でも気安く書ける内容ではなくて、
    感想を・・・・どのように述べたら良いのかわからなくなっておりました。
    震災から一年が過ぎた今年の3月11日・・・・
    町は徒ならぬ空気を漂わせていました。
    何事もなかったかのように過ぎ去る事が出来なくて、とても長い長い一日でした。
    震災から一年が経ち、『一年が早かったね~』と言う方も沢山いらっしゃいましたが、
    私自身、物凄く物凄く長い一年でした。。。
    一周忌を迎えて、テレビでの報道や特番が多くやってましたが、
    改めてあの時の恐怖が襲い掛かってきました。
    この巨大な津波に呑まれた人たちは、どれだけ怖かっただろう・・・
    どれだけ辛かっただろう。。。残された家族はどんな気持ちでいるだろう・・・と。
    亡くなった方が気の毒で気の毒で。。。言葉にならない思いで一杯です。。。
    まおちゃんさんが自分に何が出来るのだろう?と感じるように、
    私もいつもいつも思っています。
    家が無くなっても、財産がなくなっても、元気な体があれば生きていける。
    でも、亡くなった方はそれが出来ないんですよね。
    町が復興だ~と騒いでいる中にも、まだまだ前を向けない人が沢山いる。
    現実を知ってもらいたくて、こう言う世界がココにあるんだとわかってもらいたくて、
    本当の意味をわかってもらいたくて。。。
    今回はこの本をブログに載せました。
    重い話をごめんなさいね。。。でも、まおちゃんさん。。。ありがとう。
    ずーーーーっと下を向いている人はいないから。。。
    みんな笑える日が必ず来るんです。
    そう信じて頑張って行きます☆

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